カモネギFX

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2013年10月

中国古書蒐集 その3 清抄絵図描金銀三国志演義(3)

この書籍が出版されているのは前から知っていましたが、もう中国在住であちらの古書売買サイトで手軽に買えるというわけでもなく、また値段も高すぎるので、見ているだけでした。


いま孔夫子旧書網での最安出品が7300元くらいです。7300元というと、大体12万くらいでしょうか。中国人も高いと思っているのか、この価格帯で売れた形跡はありません。


また定価9800元となっていますが、出版直後の2005年に4000元くらいで売れた形跡があるところを見ると、このあたりが新刊割引後の実売価格だったと思われます。当時は人民元ももっと安かったと思いますが、今のレートで6~7万円くらいでしょうか。


そして、今回私は日本の古書店で36000円で買えました。最初は見間違えているのかと思いました。


「63000円と打ち間違えたんとちゃうやろか?」


「これ注文してもキャンセルされる???」


ただの私の思い込みで、普通に買えました。


しかしながら、日中の物価格差を考えると、中国よりも日本の方が安くものが買えるという状況は異常です。もっとも輸入品とかは、価格がグローバルなので日本でも中国でも同じです。しかし、この書籍は純然たる中国国内の出版物です。


なんでこんなことが起こるのでしょうか?

中国古書蒐集 その3 清抄絵図描金銀三国志演義(2)

私が買ったのは現代の復刻版でレプリカですが、原本は抄本、つまり一部限りの手書き本です。書籍を手書きで書き写す習慣は清代くらいまで広く行われていたようで、書籍を大々的に出版するのに比べれば、費用も手軽だったと思われます。

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超達筆です。書籍の装丁は清代皇室の特色に溢れていて、この抄本が皇室に伝えられていたものであることが分かります。

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宮廷画風の40幅の人物画もありゴージャスです。皇族が読む本はさすがに金がかかっています。


今回の2004年の文物出版社から出版されたあとがきにこの書籍の来歴が書かれていました。


この書籍、張作霖が北京を接収したときに賄賂として清朝皇室から張作霖に送られたものだそうです。その後、張作霖はこの書籍を腹心の郭松齢に褒美として与えました。


のち、郭松齢が反乱を起こすも敗北、死亡した後は、郭松齢の親族がこの書籍を各地の親戚や友人に分散して預けて、数々の戦乱を乗り越えてきたそうです。


貴重な書籍であることは言うまでもなく、その内容的にもすばらしいものですので、ささやかなお宝としてずっと持っていたいものです。


さて、次回はなんで安く買えたかという点についてです。

中国古書蒐集 その3 清抄絵図描金銀三国志演義(1)

中国で一番有名な長編小説となると、『水滸伝』、『紅楼夢』、『西遊記』、『三国志演義』あたりになります。


中華民国期の学者、胡適なんかは、「中国古典小説の最高峰は、『紅楼夢』か『水滸伝』であろう」と言っており、私もそう感じますが、両方とも日本人には『三国志演義』ほどのなじみはありません。


思うに、『紅楼夢』や『水滸伝』に散りばめられた秀麗な詩は原文で読まないとニュアンスが伝わりにくい一方、史実を元にした『三国志演義』の分かりやすさとおもしろさは世界共通です。


史実は小説よりも奇なり。曹操軍に囲まれ進退窮まった関羽が張遼の説得を受け一旦は曹操に臣従し様々な恩寵を受けるも、旧恩を忘れることなく劉備の元に再び帰っていく姿は泣けます。




(日本語でも読めますぞ)


さて、清代の文人、毛宗崗が注釈を加えた三国志演義が以前からずっとおもしろいと思っていて、文字の大きな読みやすい本がないかと探していたのですが、注釈は三国志演義の本文よりも粗略にされがちなので、ロクな本がありませんでした。


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あるのは知ってました。でも値段は高いは中国の古書売買サイトでないと買えないわで、ずっと眺めているだけだった本です。


「おおっ、みやびやなー(悲)」


なんと、今回たまたま日本の古書店で買うことができました。

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全39冊なので写真は四分の一の分量です。

骨董屋と古本屋の違い その3

ろくに人が入っているようにも見えない中国関係の古本を売っているような古本屋。


ああいうところは、タダ同然で仕入れて馬鹿高く売るという古本屋のビジネスモデル以外に骨董屋のビジネスモデルも同時並行的に行っているのです。


例えば、明代や清代に出版された書籍は二度と再生産されることがありません。その当時も良い書籍はそれなりに値が張ったでしょうが、完全な骨董品となった今ほど高額であったはずはありません。


つまり出版された当時はちょっと値の張る良い本くらいのものでしかなかったのです。


しかし、二代、三代と事業が継承されていくうちに、在庫の価格が勝手に上昇していく。


たまに数寄者がそういう高額な書籍を収集目的で買っていく。


これだけでもかなり経営は安定すると思います。


一方、商品の出版年代だけで値付けをしているようなブックオフは、生鮮食料品や流行の衣料品を売るようなビジネスモデルで、時間の経過とともに在庫の価格が上昇するという概念はありません。


1円に張り付いて動かないアマゾンマーケットプレイスの数多くの書籍を見ても、大半の書籍については時間の経過とともに価値が下落していくという概念が正しいことが分かります。


ただ数百万円や数十万円で売り出されている中国古籍はもはや書籍とは言っても、実際はそのカテゴリーを越えて骨董品になっています。


数十年後、値下がりしているかというと、そういうことはなく、ほぼ間違いなく値上がりしていることでしょう。


劣化ブックオフのような古書店が軒並み姿を消した一方、こじんまりとした古本屋がなぜか生き残っているのは、骨董屋のビジネスモデルと在庫を規模の大小こそあれ所有しているからです。


さて、この古本屋と骨董屋のビジネスモデルの違いのおかげで最近一つちょっとした掘り出し物にあたりました。


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骨董屋と古本屋の違い その2

骨董屋と古本屋のビジネスモデルの大きな違いは商品が不良在庫に変わるリスクの大きさにあると思います。


ブックオフとかではない郷土史なんかを置いている専門的な古書店が近くにありますが、やはり売れない本は定期的に古紙回収業者に処分しにいっているようです。


正直全然儲かってるようには見えません。


つまりタダ同然で仕入れてバカ高く売っても、まだ全然儲からないくらい仕入れロスが多いのが古書店の現状ではないかと思っています。


子供の頃にあったブックオフとかではない普通の古本屋の多くはいつの間にかなくなっていました。


十分な黒字を利益を確保できないビジネスは自然と消滅していくので、一見高く見える古本屋の書籍の値段も経済的合理性にあったものだと分かります。


一方、売れるかどうか分からない古本と違って、誰もが欲しがる骨董品は不良在庫となるリスクが極めて低いのではないでしょうか?


ブックオフなんかは素人でも値付けができるように出版時期が新しいか古いかだけで販売価格を決めているなんて話を聞いたことがあります。


つまり在庫の価値の劣化と駆け足で競争しながら、利益を上げているわけで、多くの小売業は同じ形態を取っていて、不良在庫の恐怖と日々戦っています。


一方、骨董屋は全く逆で、再生産されない骨董品は時間が経てば経つほど、市場からどんどん姿を消していく、時間の経過とともに価値の増大する商品です。


神保町なんかにあるさほど売り上げがあるとも思えない中国系の古書を扱っている古本屋がどうして一向につぶれないのか最近になって分かりました。

骨董屋と古本屋の違い その1

骨董屋というと、タダ同然で仕入れたものを素人にバカ高く売りつける、私が勝手に抱いていたイメージはそんな感じです。





ところが島津法樹さんの本を読むと、利益で3割強ぐらいしか見込めないものでも平気で仕入れている場面が結構あります。


利益で3割というと、ビジネスとしてはけっこう厳しいというか、真っ当な側面もあると感じるラインです。


まあ3割と言っても、300万円の3割なら90万円にはなるので、小売業における1万円や千円の3割とはわけが違います。


それでもかなりリスキーな仕入れだとは思うのですが、おそらく骨董品の場合、人気のものは不良在庫になりにくいのだと思います。


だから、利益で3割程度しかとれないものでも仕入れることができる。そして仕入れるとほとんど同時に人手に渡っていく、また仮にうまくいかなくてもその希少価値が極端に下がる可能性は低い。


一方、古本屋はというと、まさしくタダ同然で仕入れたものをバカ高く売りつけるといったビジネスモデルです。


同じ中古品を扱うビジネスでありながら、こういった違いがあるのはなぜなのでしょうか?

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