「そもそもなぜ日本の銀行の預金金利が低いのか考えてみたことはある?」


「うーん、景気が悪いからじゃないの」


「まあそういうことなんだけど、もう少し押し進めて言うと、日本の銀行は貸し出すためのお金の確保には困ってないからだよ。逆に貸し出し先が見つからなくて苦労している」


「ふむふむ」


「銀行にとって僕たち預金者たちから預かったお金は金利を支払わなければならない負債だ」


「必要もない借金をしたがる人なんていないように、銀行だって必要もないお金は預かりたくなんてない」


「だから銀行は金利負担が重圧にならないラインまで金利を下げていく。一方、預金者の方でも金利がほとんどつかないとなると、馬鹿馬鹿しくなって使ってしまったり、預金以外の他の金融資産へと資金を移してしまい、銀行への資金の流入は減少していく」


「こうしてつりあいのとれた地点によって今の金利が形成されている」


「単純な需要と供給の関係だね」


「そう。そして、僕が今仕事で主に滞在しているコアラ連邦国は日本とは正反対の状況にある。つまりコアラ連邦国の銀行は貸し出し先には困ってないけど、貸し出す資金の確保に苦労している」


「ふむふむ」


「コアラ連邦国は世界でも有数の資源国だけど、新興国を中心とした資源需要の高まりで、好景気が続くとともにインフレ気味だ。資金需要は強く、インフレを抑えるためにも金利が高く設定されている」


「日本とはえらい違いだね」


「だから投資の機会があるのさ」