カモネギFX

株式投資、FXデイトレード、古書収集などをド田舎で行っている資産運用ブログです。

2016年04月

国際格差は蜘蛛の糸 その10

話は現代に戻ります。


昨年に私がやっていたワープア労働は冷凍食品の工場での仕事でした。当時の派遣会社の担当者の話しでは、私の住んでいる地域は冷凍食品の製造会社が非常に多いそうです。


それまでは工業系のメーカーでしか仕事をしたことがなかったので、全く意識することはなかったのですが、そう言われてみると、裸一貫一代で上場企業にまで成り上がった会社も近くにあります。(もっともその会社は最後に味噌をつけて大手企業の子会社になってしまいましたが)


「どうせつなぎの仕事だし、まあええか」


とあまり深く考えることもなく、田んぼの中にある冷凍食品の工場にしばらく勤めることにしました。


チャリンコで走り回っていた子供の頃から、そこにあるのは知っていた工場です。通勤時間は10分もかからないので超近いです。


「おおっ、近いやん。ラッキー」


ぐらいしか思わなかったのですが、あの田んぼの中の工場があんなことになってるとはそのときは到底想像もできなかったのでした……。

国際格差は蜘蛛の糸 その9

深谷さん一家が帰国したときには、既に中国残留孤児向けの帰国者支援が行われていましたが、深谷さんたちはそれについて知らされていなかったそうです。もっとも仮に知っていたとしても、それらはかなりお粗末な内容で、それだけではとても日本語の習得や日本社会への適応ができるようなものではなかったようです。


日本語がほぼできない状態ですので、深谷さん兄弟はかなり過酷な肉体労働に従事するしかありませんでした。


その後、両親の面倒を見ながら日本語の勉強をしていた妹も働きはじめ、かつ兄弟も新たに職場を変えたりして、年金の少ない両親への仕送りを行うことによって、なんとか深谷さん一家の日本での生活再建は進んでいったようです。


差別もいろいろあったようですが、中国で味わったそれに比べるとはるかにましだったとのこと。


日本語の不自由さは後々まで尾を引いたようで、日本に戻ってきて日本国籍にもなったから、日本人と結婚しようと思ったけれど、結局果たせず、兄弟妹相次いで中国の方と結婚したそうです。


救いと言えるのは、生まれた時から日本で育った深谷義治さんの孫の世代は、かなりいい大学に入ったりして、完全に日本社会に同化できていることでしょうか。


幼少期の教育環境は非常に大事だということが分かります。中卒だろうと、ワープアだろうと、日本の学校や日本の会社で知識や経験を積めたということは、グローバル的には希少な「技術」を身につけたということになるのですが、ほとんどの日本人はこのことに気づけないままでいます。

国際格差は蜘蛛の糸 その8

20年もの獄中生活を経て、ようやく釈放された深谷さんは、家族を連れてなんとか日本に帰国することができました。これで、一件落着、安寧の日々が訪れるかと思いきや、さらに苦難の日々が続くことになりました。


深谷さんは軍人恩給を受ける資格があったのですが、身内の何某が勝手に申請してしまっていたらしく、本来の軍歴からもらえるはずの金額よりずっと少ない年金しかもらえないことになりました。


深谷さん本人は長期の獄中生活で、身体障害者に近い状態になってしまっていて、かつ妻も中国で長期の極貧生活に耐えたため病弱となっていました。


深谷さんには四人の子供がいたのですが、息子たち三人が働いて、娘一人が両親の面倒を見るという形で日本での新生活を始めました。


兄弟三人は日本帰国後、わずか七日で過酷な肉体労働に従事することになりました。

国際格差は蜘蛛の糸 その7




戦中戦後の中国で特殊工作員、いわゆるスパイとして働いた深谷義治さんとその御子息である深谷敏雄さんが書かれた書籍です。


中国にてスパイ容疑をかけられて、なんと20年もの獄中生活を送ることになった経験が語られています。スパイ容疑を素直に認めれば、もう少し早く釈放された可能性はあったようですが、「スパイであることを白状してはならない」と日本政府に律儀に義理立てしたためにここまで獄中生活が長期化したのでした。


深谷義治さんは身分偽装のため、中国人女性と結婚して子供も生まれていたのですが、中国政府に囚われたあとは、一家の大黒柱である主人は獄中生活、妻と子供達は反革命分子の家族として、離れ離れで地獄のような生活を送ることになりました。


中国の獄中生活や戦後の社会経済状況が分かる興味深い内容の書籍ですが、ただ単にそれを「かわいそう」とか「悲惨だ」という感想で終わらせてしまうべきではありません。


現代の私たちが読んでも、そこからいくつもの教訓を学び取ることができます。


今回のテーマから見ると、深谷さん一家が日本に帰国したあとの悪戦苦闘の日々が参考になります。

国際格差は蜘蛛の糸 その6

相変わらず投資とはあまり関係なさそうな昔のことばかり調べています。


さて、最近は中国残留孤児という言葉を聞くことはほとんどなくなりましたが、私が子供の頃はまだ新聞に顔写真と名前が載ってたりして、戦前の敗戦の最中、ソ連軍が侵攻してくる満州国から逃げ遅れて中国人の養子となったりして中国で生活せざるを得なかった人たちの日本での肉親探しが行われていました。




今では中国残留孤児の帰国作業自体はあらかた終了したのかもしれませんが、その後の彼らの日本での生活はあまりスポットライトを浴びることはありませんでした。 


彼らは中国で幼少青年期を過ごしたので、遺伝子的には日本人であっても、教育や文化的には中国人となって、壮年期になってから日本にやってくることになりました。


つまり、これは一種の「中国人」移民と見ることもできます。日本語能力に乏しく、中国人の養子といっても単なる労働力とみなされて、満足な教育を受けられなかった例もあり、彼らの多くが帰国後の日本社会への適応に苦労しているようです。


単純労働なら「誰でも」できるから、日本人の仕事が移民に奪われるというのは、かなり短絡的な発想であることが分かります。

国際格差は蜘蛛の糸 その5

昔の華族の回顧録などを読むと、その豪勢な暮らしぶりに驚くのですが、現代ではよほどの金持ちでもない限り、何人もの使用人を雇っている家庭はないでしょう。


家電製品が普及して家事労働の負担が激減したこと、不動産の価値が上昇して豪奢な邸宅を構えることのコストが激増したこと、商工業の発展によって人件費が激高になった等々の変化がそこにはありました。


超長期で見れば、格差はとてつもなく縮まっているのですが、近視眼的なマスコミは格差社会を煽り立てる記事ばかり書きます。騙されてはいけません。


私なんかも戦後まもない頃に生まれていれば、金の卵よろしく、中卒程度の年齢で都会の零細工場や商店に送られ、朝から晩まで雀の涙のような給料でこき使われたかもしれません。今で言うところのブラック企業も真っ青の労働環境です。


なにはともあれ、格差是正の原動力となったのは、「労働力」の値上がりです。学歴や技術がなくても健康であれば、誰でもそれなりに売れる労働力を持っています。


ただし、「誰でも」というのは、実はそんなに普遍化できる話ではありません。


今後、労働力を高く売れる日本市場を狙って、多くの移民が進出してくるのは間違いないですが、その試みのすべてが成功するとは思えません。


それは過去の歴史を観察してみれば分かることです。

国際格差は蜘蛛の糸 その4

ランド円ロスカットなどのどさくさにまぎれて、半年以上前の書きかけの記事が完結してなかったので、これを書き終えておこうと思います。


さて、たとえ上流階級でも高学歴でなくても、現代の日本に生まれ育っただけで、グローバルな視点でみるとかなりのハイスキルかつ強力な資産を有しているのはないかという話です。


普段、著名人でもなんでもない普通の日本人の個人ブログから投資や節約などの着想を得ることが多いのですが、ふと振り返ってみると、中国人の個人ブログを見ていることはほとんどありません。


私の場合、中国語が多少できるので、日本の十倍以上人口がいる中国人ブログも一つの情報源になってもおかしくないのですが、普段全くといっていいほどそれらを見ていることはありません。


日本人の個人ブログにたどり着く経緯としては、検索キーワードでヒットして、その後リンク集をたどっていくといったケースが多いです。それとブログ村をなんとなく見てることもあります。


一方、中華圏の検索エンジンで調べものをすることもよくあるのですが、その際、個人ブログがヒットすることがあんまりなく、さらにはそのブログにリンク集があったりということはほとんどありません。


多分、中国人ブログも星の数ほどあるのは間違いないでしょうが、自分の情報源として入ってこないのは何か原因があるように思います。


今回そこは突き詰めて考えませんが、新興国で年金暮らしをしているブログ、FXトレードだけで生計を立てているブログ、あるいは節約の限界に挑戦しているブログ等々、日本のようにブログ一つにしても百花繚乱なんでもござるという状態なのは、世界的にはかなり特殊なのではないかということです。


つまりその国の経済力や教育、文化水準などが、ブログの質量に大きく関係しているのではないか?


となると、世界にあまたある弱小経済国家の言葉が理解できてもネット上のブログ一つにしても有益な情報を得られないということになります。


逆から見ると、日本語ができるだけでたとえ直接のお友達でなくとも無数の情報網を世界中に張り巡らせていることになります。


いかに経済的価値の高い言語を意識することもないまま身につけているか私たちは気づいていません。
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