『私の財産告白』を読んでいると、本多静六翁が突然訪ねてきた八十万円を貯めたという青年に二億円の資産を築くための投資法を伝授する場面が出てきます。


当時の二億円が今のいくらになるのかはちょっと分かりませんが、今の二億円にしたってたいしたものです。


さて本多静六翁が説くには複数の事業に投資して得た利益を銀行に預金し、その預金の信用をもって銀行から新たな資金を引き出すことをこの青年に勧めています。


つまり安全確実の手段を選びつつも、借金して事業投資するべきであると。


確かにほとんどの企業は借入金を利用して経営されていますし、我々個人でも住宅を買う場合にはローンを使います。


安全確実で効果的な使われ方をするなら、借金は成長のスピードを上げたり、あるいは通常では買えない大きな買い物をすることができます。


「でもオイラの場合は預金はほとんどなくて、全部株券に化けちゃったからなあ。まあ昔は預金を担保にどんどんお金を借りれたのね。へえー」


と思って読み流そうとしていたところ……。


「んっ、株券?担保?」