無尽蔵の機動力と破壊力を誇る騎馬軍団の力によって中央ユーラシアに一大帝国を築いたチンギスハンですが、その本質な勃興の原因は鉄血の騎馬軍団にではなくもっと別のところにあります。


彼の勢力が拡大したのはその部族の中で公平な分配が行われたからです。


他の部族では一生懸命働くものもなまけるものも同じような収益の分配がなされていました。


まるで二昔前の中国みたいに。


しかしチンギスハンの部族ではたくさん働いたものはそれに見合った多くの収益をもらい、なまけたものはなまけた分だけしか収益をもらえませんでした。


半ば遊んでいるようなものと収益の変わらないことに不満を持つ他の部族の働き者たちは当然不満を持ち、チンギスハンの噂を聞きつけて身を寄せるようになり、どんどん彼の勢力は大きくなっていきました。


このように文明度が低く貧しく野蛮とみられる少数民族でもその勢力が急激に拡大するときには、その内部は清水のようなすがすがしい状態にあります。


たとえ衣装はみすぼらしくとも、彼らの口から一度出た約束は文書がなくとも必ず実行に移されます。


官職はなくとも、自らと部族の名誉のためには死を恐れることなく、遊びにでもいくように死地へと赴きます。


では同じころ腐った文明高き漢民族はどうなっているのか?