あちらの部族が弱いときにはあちらの部族に肩入れし、こっちの部族が強くなりすぎたら、また別の反目する部族を支援する。


このような態度は当然二枚舌を生みます。


少数民族の英雄たちは考えます。


「なるほど中華は偉大な帝国だが、その言葉は信用ならず、行動と結果を伴わない。打つべし!」


漢民族王朝の土台がしっかりしているときには、それでも少数民族を撃退できますが、先に述べた内部崩壊の兆しが見えるときには、とても命令よく通り、死を恐れない騎馬軍団の敵ではありません。


十分の一程度しかいない少数民族の軍隊に粉みじんに打ち砕かれてしまいます。精鋭が烏合の衆を叩くとはまさにこのこと。


しかし、少数民族相手に本格的に戦争を起こしていては、政権が内部崩壊してしまう恐れがあるため、金や土地を割譲して、はいつくばって和睦してもらいます。


それで済む場合もありますが、その後もこそこそと姑息な手を使う漢民族王朝にしびれを切らした少数民族の英雄は、とうとう中国全土を支配してしまいます。


こうして野蛮な異民族が漢民族ヒエラルキーの頂点に立つ王朝が生まれます。