元代に流行した戯曲を俗に元曲といいますが、王実甫の『西廂記』はその中の最高傑作とされています。


歴史上、あちこちで何度も出版されたため、文章の構成や原文の語句に様々な異同が生じていますが、こういう書籍の流通の過程を専門に研究する学問を版本学などといったりします。


学者だけでなく、実際に大量の古籍を取り扱う中国の公共図書館では必須の学問です。


さて、明代に江南湖州の凌家が刊行した朱墨二色刷りの『西廂記』は、テキストの内容だけでなく、彫刻の技術でも非常に優れているということで、2005年に上海古籍出版社が原寸大のまま復刻出版したのが、本書になります。


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(ペタペタと蔵書印が押してあるのは、歴代の所有者たちが「これは俺のもんだ!」と自己主張していった結果です。犬のおしっこみたいですね)


こういう古代の唐本の復刻版というのは、今でも細々と出版されていて、留学当時、全く骨董品に興味のなかった私も、高くはないしおもしろそうだということで、何点か買って帰国しました。


2005年に1500部刷られたきりですが、唐本スタイルの復刻版というのはどうも値上がりしやすい傾向にあるようです。


一般に中国の書籍の値引率は高くて、大型書店でも会員カードを作っておけば、10%引きくらいになるところがほとんどでそういう会員になってなくても普通に20%引きにしてくれる書店もあります。


この本の定価は298元で、私は確か大学の中の書店で2割引くらいで購入しました。「三千円か四千円程度なら安いし、きれいだから買ってみようか」と当時思った記憶があります。


中国最大の古書販売サイト孔夫子旧書網では過去の売買履歴も見られるので、この書籍について調べてみると、最初は定価以下の価格で売買されていたのが、次第に値上がりしていき、近年では定価の2倍程度でも買い手がつくようになっています。


再版されたら値崩れするかもしれませんが、そのときにはまた出版元が値上げをしてくるのは必定ですし、それに数の少ない古い出版物のほうが希少とされる傾向にはあるようです。


さて、私がしわしわおじいちゃんになるころにはどういう状況になっているでしょうか?


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まったりと本でも読みながら待ってみましょう。