切手なんてただの紙切れじゃねえか。


というのは私の感覚です。


邱 永漢
徳間書店
1988-11


新しい商売や金の儲かる商品を考え出して、うまく成功した人は儲けた金で何を買うかというと、土地や書画・骨董や宝石などの生産に限りのあるものを買いたがる……(p.93)


Qさんの言葉を借りれば、豊かになった中国人は珍しい切手を買いたがるようになりました。


日本のバブルの天井期から今日までの約25年間を経て中国の切手は暴騰しました。


10倍くらいになっている切手はゴロゴロしていますし、甚だしきに至っては20倍くらいになっているものもあります。


文化大革命の頃は、切手収集が禁じられたり、海外への輸出も止まるなど流通量が少なく、当時の記念切手は超プレミア価格がついています。


「25年で10倍ってあんまりたいしたことないような……」と思うところですが、重要なのは日本のバブルの天井からスタートしての25年というところです。


NTTの株をバブルの頃に買って25年持ち続けた人は、半値にすら未だ遠く届かないままです。


バブルの天井でウサギ小屋のようなマンションを買ったひとはただひたすら損失の穴埋めをするような気分でローンを支払い続けたはずです。


何を買っても損するしかなかったように見えた日本のバブルの天井でも、中国切手を買えばなんと資産を増やすことができた。