アンティークが値上がりする理由はその再生産の不可能性にあります。


その人でないと作れない、描けない。


その時代に絶頂に達して、他の時代では模倣できない。


そのものがありふれて存在するときには気づきませんが、あとから振り返ってみると、とてつもなくクオリティが高いものが何気なく提供されていたのだということに愕然とします。


例えば、中国古代殷王朝の青銅器などは現代の科学技術をもってしても再生産できないそうです。どうやって作ったのかさっぱり分からない。


現代の方がはるかに科学技術が進歩しているのに不思議な話です。


グローバル化によって大量生産が可能なものはどんどん値下がりする時代になりました。これからはアンティーク的なものや技術をどれだけ所有しているかが、収入や資産の規模を決める要因になるような気がします。


個人においても会社においても。


さて、私が学生時代に学んだ中国の古典文献学もまた歴史上、いくつもの絶頂期を迎えました。


普通の人は誰も知らないでしょうが、王国維(1877-1927)は中国近代期最高の古典文献学者でした。


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今回取り上げる書籍、王国維遺書は彼の著作を集めたものです。