例え外敵が攻めてきても強固な城壁が築かれていれば、びくともしません。


問題は情報商材を売る詐欺師たちの側にではなく、本質的には私の側にあったのです。


当時は普通のサラリーマンかつ田舎の独身実家暮らしということで、経済的にはそれなりにゆとりがあり、また会社の庇護の下で楽にお金を稼いでいたので、非常に緩い金銭感覚しか持っていませんでした。


ワープアになっていかにお金を稼ぐことが難しいかを実感した今なら簡単に分かるのですが、投資やビジネスにおける各個人の環境や能力は千差万別なので、「これをやればお金が儲かる」なんて回答はそもそも存在しません。


各個人が必死になって自分に合った回答を探すしかないのであって、赤の他人が横から「これをやれば儲かりますよ」なんて言うのは、ただの営業トークでしかないわけです。


私の場合、情報商材にトータルで百万単位の金額をやられているので、痛い損失ではありますが、おじいちゃんになる前に引っかかってよかったと思います。はしかや風疹にかかったと思えば、まだ取り返しがつく年齢です。


あればあるだけかっさらわれるのが詐欺の特徴です。


一万円しかなければ一万円ですみますが、一千万持っていれば一千万全部やられます。一億隠してあれば一億根こそぎ奪われます。10億の資産なら10億丸ごとなくなります。


なぜならそれぞれの階層に異なる能力を持った詐欺師たちがうごめいているからです。


「これだけの資産が築ければもう大丈夫だ」


という言葉は、詐欺の本質を全く理解していません。


しかし一点だけ救いとなるところがあります。


詐欺師が使う手口は階層と人物が変わっても本質的には全く同じということです。フィリピン人もイタリア人も日本人も身体的な構造はどこも違わないので、当然みな全く同じ「人間」の外見をしています。


影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか
ロバート・B・チャルディーニ
誠信書房
2007-09-14



詐欺師に対する特効薬としてこの本を私は薦めます。とにかく買っておいてください。