ここ100年くらいを観察してみて、インフレを蹴散らすように暴騰し続けたのは、「株式」と「不動産」、それに「労働力」という三種の神器だったようです。


「会社」は人が働く組織、「不動産」は人が住んだりビジネスが展開される場所、「労働力」は人が提供する能力。


となると、悠久の時間の経過とともに人の経済的価値がどんどん上昇し続けているということかもしません。


不幸にして身体に障害があって働けないという方も極少数いることでしょうが、ほとんどの人は全く意識することもなく三種の神器の一つである「労働力」を持っています。


しかし、今の日本はあまりにも豊かになりすぎたために、「労働力」の価値を認識できなくなっています。空気があってありがたいと思う人がいないのと同じように。


ほんの100年くらいの時間を遡れば、今日のようにいつでもどこでも「労働力」を売れるくらい求人があるというのは常識ではありませんでした。


また日本を一歩出れば、あまりにも物価の安い国の多いことに驚きます。もちろん新興国の物価が安いのではなく、日本で売買される「労働力」の価値が高すぎるのが真実に近い姿でしょう。


「日本に生まれて普通の教育を受けただけで、終身大企業に雇用されているようなもの」という空気のような現実を理解できるかどうかが貧困脱出の一つの鍵となるように思います。


それが理解できないとスマホゲームに100万円課金してしまうといったようなトンチンカンなことをやってしまう可能性があるからです。


日本人ならそれほど大きな金額とは感じない100万円は、新興国ではとてつもなく重い。


例えばワープアだと思いこんでいた自分の100万円で十年前に中国の吹けば飛ぶようなIT企業だったテンセントの株を買っていたら、わずか10年で億万長者になっています。


これはそんなに極端な例え話ではなく、程度の違いはあってもあちこちで起こっている現象です。