坂の上の雲〈2〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
文藝春秋
1999-01-10



NHKでもTVドラマ化されましたが、やはり小説本体の方が話題は豊富です。


作中で正岡子規が昔の文学者や芸術家の寿命について調べたという話が出てきます。


子規が下した結論は、「わが国古来の文学者や芸術家をみるに、名を一世にあげてほまれを後世に垂れるひとの多くは長寿の人である」というものでした。


松尾芭蕉については、残した俳句千余りの作品のうち、上作といえるものは、二百首程度にすぎないが、一人で二百首も上作を残したところに芭蕉の偉大さがあるといっています。


また、芭蕉が自身の独創性を発揮し始めたのは、最後の10年間程度であり、いよいよ詩想が神がかってきたのは、死のわずか三、四年前であるとも言っています。


つまり、子規の解釈を推し進めると、芭蕉があと10年早く死んでいたら、文学者としての功績をほとんど残さなかったということになります。


芭蕉ですらそうなのだとしたら、素人がブログ記事を書いてもまともに価値のあるものが出てくるわけもなく、30年40年と駄文をひたすら書き続けて、最後の3、4年にようやく経験に裏打ちされたものが出来てくる可能性があるということになります。


つまりこのブログでも今まで書かれたものはすべて駄文ということになりますが、これを20年30年と続けていかないとその先の可能性はないということでしょう。