戦中戦後の中国で特殊工作員、いわゆるスパイとして働いた深谷義治さんとその御子息である深谷敏雄さんが書かれた書籍です。


中国にてスパイ容疑をかけられて、なんと20年もの獄中生活を送ることになった経験が語られています。スパイ容疑を素直に認めれば、もう少し早く釈放された可能性はあったようですが、「スパイであることを白状してはならない」と日本政府に律儀に義理立てしたためにここまで獄中生活が長期化したのでした。


深谷義治さんは身分偽装のため、中国人女性と結婚して子供も生まれていたのですが、中国政府に囚われたあとは、一家の大黒柱である主人は獄中生活、妻と子供達は反革命分子の家族として、離れ離れで地獄のような生活を送ることになりました。


中国の獄中生活や戦後の社会経済状況が分かる興味深い内容の書籍ですが、ただ単にそれを「かわいそう」とか「悲惨だ」という感想で終わらせてしまうべきではありません。


現代の私たちが読んでも、そこからいくつもの教訓を学び取ることができます。


今回のテーマから見ると、深谷さん一家が日本に帰国したあとの悪戦苦闘の日々が参考になります。