カモネギFX

株式投資、FXデイトレード、古書収集などをド田舎で行っている資産運用ブログです。

歴史に学ぶ資産運用術

最近100年、値上がりしたもの、値下がりしたもの その11

ここ100年くらいを観察してみて、インフレを蹴散らすように暴騰し続けたのは、「株式」と「不動産」、それに「労働力」という三種の神器だったようです。


「会社」は人が働く組織、「不動産」は人が住んだりビジネスが展開される場所、「労働力」は人が提供する能力。


となると、悠久の時間の経過とともに人の経済的価値がどんどん上昇し続けているということかもしません。


不幸にして身体に障害があって働けないという方も極少数いることでしょうが、ほとんどの人は全く意識することもなく三種の神器の一つである「労働力」を持っています。


しかし、今の日本はあまりにも豊かになりすぎたために、「労働力」の価値を認識できなくなっています。空気があってありがたいと思う人がいないのと同じように。


ほんの100年くらいの時間を遡れば、今日のようにいつでもどこでも「労働力」を売れるくらい求人があるというのは常識ではありませんでした。


また日本を一歩出れば、あまりにも物価の安い国の多いことに驚きます。もちろん新興国の物価が安いのではなく、日本で売買される「労働力」の価値が高すぎるのが真実に近い姿でしょう。


「日本に生まれて普通の教育を受けただけで、終身大企業に雇用されているようなもの」という空気のような現実を理解できるかどうかが貧困脱出の一つの鍵となるように思います。


それが理解できないとスマホゲームに100万円課金してしまうといったようなトンチンカンなことをやってしまう可能性があるからです。


日本人ならそれほど大きな金額とは感じない100万円は、新興国ではとてつもなく重い。


例えばワープアだと思いこんでいた自分の100万円で十年前に中国の吹けば飛ぶようなIT企業だったテンセントの株を買っていたら、わずか10年で億万長者になっています。


これはそんなに極端な例え話ではなく、程度の違いはあってもあちこちで起こっている現象です。

最近100年、値上がりしたもの、値下がりしたもの その10

格差社会という言葉が使われるようになって久しいですが、これも眉唾ものです。100年単位で見ると、格差はとてつもなく縮まっています。





昭和初期の状況をダイジェスト的に知ることができて、参考文献をたどっていけば、さらに詳しく知ることもできます。


1930年代のある製紙工場では、工場長の給与は一般工員の17倍、ホワイトカラーと一般工員との間でも給与格差はまだ4倍もあります。


他にも今なら大卒、高卒くらいの給与格差はありますが、戦前は帝大卒と私大卒でも明確な格差がありました。


女性の場合はさらに悲惨で、明確な男女間の給与格差があるのは当たり前で、それ以前につける仕事の数がとても少ない。まだ女性は家庭に入るものという感覚の時代です。


つまり、戦前は網の目のように格差のはりめぐらされた社会でした。


昨今、まことしやかに言われている格差が広がっているという話は、「バブル後株価は上がっていない」と似たような印象の話です。


限られた短い期間だけを見れば、確かにそれは事実でしょうが、超長期で見れば、株価は暴騰し、格差は激減しているという、全く逆の現実が浮かび上がってきます。


ならば、いま何をするべきかは自ずから明らかになります。


多少一時的に逆行する動きがあったとしても、いずれ大きな流れの方向に戻ることは明白だからです。

最近100年、値上がりしたもの、値下がりしたもの その9






華族の戦前の回顧録などを読むと、都内数千坪の邸宅に二桁に上る使用人を抱えているような話が珍しくないことが分かります。





和風、洋風の様々な大邸宅の写真が載っていて、目の保養になるのですが、敷地が一万坪を越える大邸宅も珍しくありません。


敷地が一万坪を越える大邸宅にどれくらいの使用人が働いていたのだろうと想像したりもするのですが、数人で済むということはないでしょう。


つまりこれは地価と労働力が安い大昔だからできたことであって、現代なら大富豪でも同じようなライフスタイル送る人はまずいません。固定資産税と人件費の垂れ流しになるからです。


今の日本の長者番付のトップはユニクロの柳井さんですが、その自宅は敷地面積約2600坪、警備室もあるそうですから、人件費もかかっていることでしょうが、戦前に比べれば、大分スケールダウンしてると言えます。


結局、ここ100年で大幅に値上がりしたものは、株式と不動産と労働力、逆に大幅に値下がりしたものは、国家の信用力によって発行される通貨です。


100年続いたわけですから、次の100年も同じことが続く可能性が高いと私は考えます。

最近100年、値上がりしたもの、値下がりしたもの その8

あたかもベルリンの壁のごとく貴族と貧乏人を区切っていた境界線を叩き壊したのは、労働力の市場価値の向上でした。


現代だけしか知らないとこのことは非常に気づきにくいです。しかし、100年単位の歴史を観察すると火を見るよりも明らかです。


例えば女中について。昭和時代前期まで、多少裕福な中流階級の家庭には、女中がいるのが一般的だったそうです。




しかし、高度経済成長期(1970年くらいまで)を過ぎると、女中はほとんどその姿を消しました。各種工業化の進展によって、労働賃金が上昇すると、低賃金、長時間労働の女中の成り手がいなくなってしまいました。


もちろん洗濯機、炊飯器、冷蔵庫などの電化製品の普及によって、家事労働の時間が大幅に短縮されたことも女中が消滅した原因の一つですが、最も主要な原因は中産階級が女中を雇うのには、あまりにもその労働賃金が上昇してしまったことが原因です。


また、1960年代頃までは庶民金融の主力だった質屋も1970年代頃から、消費者金融の前身となる団地金融が起こり始めると、廃業するものが多くなりました。


今では街中で質屋を見つけるのは、天然記念物を見つけるように難しいですが、消費者金融の無人店舗ならいたるところに発見できます。


これはつまり豊かになって物品の溢れる現代では、ありきたりのものでは担保にならなくなった一方、仕事が溢れるほどあって、かつ人々が容易に失業しなくなったため、将来の労働収入を担保に取るほうが確実になったという世相の変化を受けた結果です。

最近100年、値上がりしたもの、値下がりしたもの その7

「こんな安い給料でいくら働いても金持ちになれるわけがない」


ほとんどの人がこう思っているでしょうが、こんな風に考えてしまうのは、今の時代しか知らないからです。


昔の小説なんかを読むと、貧乏人と貴族しかいません。


レ・ミゼラブル〈1〉 (岩波文庫)
ヴィクトル ユーゴー
岩波書店
1987-04-16



主人公のジャン・ヴァルジャンが7人の姉の子供を抱えて、仕事も食料もなくなり、ひとかけらのパンを盗んだことによって、投獄されるところから物語は始まります。


大学生のときに読んだのですが、「なんでこんなに貧乏な話ばかり出てくるのだろう」とは当時思いませんでした。


「小説だからそんなものなんだろう」とほとんど無意識のうちに脳内スルー。


その実、人間の想像力は極めて貧困なもので、小説はキャバクラ嬢の源氏名のごとく、多少の名称と場所とストーリーを変えて、事実が赤裸々に書かれていることがほとんどです。


つまり、ユーゴーが『レ・ミゼラブル』を執筆した当時には書籍に書かれているような貧乏話は読者に違和感なく受け入れられる現実の物語だったということです。


皆さん、本当に現代の日本に生まれて幸せですね。


「自分はワープアで……」なんて言っている人でも、19世紀の人々から見たら、貴族のような暮らしをしていますよ。


つまり歴史的な観点から見ると、我々はみな貴族といっても過言ではないくらい既に豊かなのですから、より豊かになるチャンスにも恵まれています。

最近100年、値上がりしたもの、値下がりしたもの その6

株式と不動産以外で、ここ100年で猛烈に値上がりした貧富の差に関係なく誰でも持っている「あるもの」とは一体何か?


それは「労働力」です。


「ハアッ。つまりそれはコツコツ働いて、株式や不動産を買えってことかよ。なめてんのかよ。そんな当たり前のことしたり顔で書くな!」


と怒声がモニター越しに聞こえてきそうですが、真実はすべからく空気のようにシンプルなものです。


空気の存在をありがたいと思う人はいません。そんなものあって当たり前だからです。


同じように労働力の価値をありがたいと思う人もいません。そんなものあって当たり前だし、できれば働かないでお金持ちになりたいと思っているからです。


うまい儲け話を探して人生を放浪したあげく、結局騙されたり、貧しいままの生涯を終えるか、あるいは一番回り道に見えるお金持ちへの最短ルートを黙々と歩むか。


私は後者の道を選ぶことにしました。


何でもいいから働いて、得たお金を倹約して残し、残ったお金がナフタリンのように溶けてしまう前に、株式や不動産を購入する。


株式や不動産が蓄積されて、担保価値が認めれられてくるようになれば、借金してさらに投資できるようになる。


道筋は地図もいらないくらいシンプルです。

最近100年、値上がりしたもの、値下がりしたもの その5

その田舎の原っぱでもバブルのバの字のかけらもない遠い昔には熱心に売ってくれという人がいたそうです。


おそらくバブルの頃くらいまでなら、今のように売却先が全く見つからないということはなかったのではないかと想像します。


仮にバブルの天井で土地を売却し、代わりにトヨタの株を買ったとしたら、今なら株価は4倍以上になっていますし、おまけに新興企業ではなく、大型株なので配当付きです。


優良企業は景気循環に関係なく、事業規模が拡大していきます。バブルの天井で買っても超長期的には損をしません。


こうしてみると、貧乏だ貧乏だといってもみても、何かしらのチャンスは誰でも持っているのに、知識や経験がないために素通りしてしまっていることが分かります。


村上ファンドの村上さんなどは、小学生の頃から株取引を行い、それで小遣いを捻出していたと、wikiに記載されていますが、これなどは彼の父親が株式こそが富の源泉であることを知っていたからこそできたことでしょう。


家族や一族の中に、株式と不動産が現代社会における富の源泉であるという金銭的教養を持った人物がいないと貧困は連鎖的に繋がっていきます。お金そのものよりもこういう知識の方が遥かに本質的には重要です。


実際、現代は歴史上のどの時代よりも誰でも金持ちになるチャンスがあります。


それは、株式と不動産以外で、ここ100年で猛烈に値上がりした「あるもの」は、誰でも所有しているものだからです。


その「あるもの」を株式や不動産と交換してしまえば誰でも金持ちになれます。

最近100年、値上がりしたもの、値下がりしたもの その4

亡き祖父から私の父親が結婚したときにもらった土地があるのですが、田舎の原っぱで単に固定資産税のかかるだけのいわゆる「収入のない不動産」になります。


何も有効活用されることがないままウン十年もの時間が過ぎてしまい、学生時分は中国の古文書にかぶれていた私が中年にいたってようやくお金の問題に関心を持つようになり(持たざるをえなくなり)、かつ父親も棺おけに半分足を踏み入れたような年齢になったこともあって、危機感を持ち始めました。


「固定資産税と草刈の手間のかかるあの土地を相続しても誰も得をしない。やばい」


亡くなった邱永漢先生に相談したら、おそらくこんな回答がもらえるのではないかと思います。


1.借金して借家を建てて、「収入のない不動産」を「収入のある不動産」に変える。


2.「収入のない不動産」である空き地を売却して、「収入のある不動産」を代わりに購入する。


3.「収入のない不動産」である空き地を売却して、配当と値上がりの見込める株式を購入する。


我が家の家計や土地の価値からすると、1や2のプランは無理だったかもしれませんが、3の方法なら、ウン十年の間に幾度となくチャンスがあったことと思います。


今一応不動産会社にお願いしてますが、二束三文でもどうにも買い手の見つからない状況です。


貧乏になるのは「お金」そのものよりもそれに関する知識や経験の欠如の方が極めて重要な原因であることがようやく分かってきました。

最近100年、値上がりしたもの、値下がりしたもの その3

10年とか20年の期間ではなく、100年くらいの超長期で見た場合、株式と不動産の値上がり、逆に貨幣価値の下落は尋常なものではありませんでした。


この事実に基づくと、基本的な財産戦略は「お金を手に入れたなら、即座に株式か不動産に交換してしまえ」ということになります。


さらにこの考えを推し進めて、「お金が無いなら、借金してでも不動産を買いなさい」という発想を提唱した邱永漢先生のような方もいました。


もっとも不動産を買うにあたって、邱永漢先生は一つの但し書きをつけました。それは、


「収入のある不動産を買うこと」


です。邱永漢先生は数々の不動産投資を手がけられたそうですが、更地を買ってその土地の値上がりを待つというようなことは一度もしたことがないとその著作の中で語っています。


つまり、定期的な賃貸収入があれば、たとえ借金しても金利や元本の支払いも滞りなくできるため、市況や流動性に関係なく、まさしく「不動」の財「産」として持ち続けられるために、「借金してでも不動産を買いなさい」というアドバイスをその著書の中で繰り返し述べたのでした。


となると、逆にやってはいけないことは、


「収入のない不動産を買うこと」


になります。これは私の場合、身近に痛い失敗例があります。

最近100年、値上がりしたもの、値下がりしたもの その2

日本の最近100年くらいの歴史の中で、とんでもなく値上がりしていたものとは?


別に教えてもらわなくても大抵の人は気づくでしょうが、それは株式と不動産です。


株式の中でもどういう企業の株価が上がったとか、どの地域の不動産の値上がりが激しかったとかの個別の現象はあると思いますが、カテゴリーでみると、この二つの値上がりは尋常なものではありませんでした。


一方、価値の下落の著しく激しかったものとは?


これも大抵の人は言われなくても分かることでしょうが、お金、いわゆる通貨です。


一番ひどかったのは、敗戦直後のハイパーインフレですが、1945年10月から1949年4月までのわずか3年6か月の間に消費者物価指数は約100倍となったそうです。


つまり日本政府は敗戦に伴う各種支出を円滑に終えるために国民のお金をインフレによって没収してしまったわけです。


それ以外にもwikiの記載を見ると、天災や戦争が起こるにつけて、インフレになってきた日本の歴史が分かります。


この状況を鑑みるに、大局的な戦略としては、お金を手に入れたら、ナフタリンのように溶けてしまう前に、せっせと株式か不動産に変えてしまえということになります。


この考えをさらに推し進めたのが、価値の目減りするお金を借りてきて、値上がりする不動産を買えという、邱永漢先生の著書で幾度となく説かれる発想です。


ただ不動産を買う場合には一つ注意事項があります。
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