ナポレオン・ヒルは『思考は現実化する』(Think and Grow Rich)の著作などで有名です。鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの依頼に従って、数百名の成功者へのインタビューを行い、彼らに共通する成功哲学を体系化しました。


二人の出会いのエピソードとして有名な話があります。


インタビューを終えたナポレオン・ヒルにカーネギーは提案をします。


「私が今まで話した成功哲学を20年間の期間をかけて体系化してくれないか?まずは500名程度の成功者を私が君に紹介する。ただし一つ条件がある。私は君に報酬は全く支払わない。どうだろうか?」


と。


報酬は無いというところに一瞬ナポレオン・ヒルはたじろぎましたが、これはビックチャンスだと思い、「やらせてください」と即答します。


その間29秒。


あとで、カーネギーがナポレオン・ヒルに明かしたのですが、このとき彼はストップウォッチで時間を計っており、もし返答に1分以上かかっていたら、彼からの提案ではあるけれども、断ろうと思っていたそうです。


さて、この話と英会話教室がどうつながるのでしょうか?


ちょっと関連性は全く見えません。


ところが、勧誘のおねーさんの言うところによると、ナポレオン・ヒルは即断即決で行動したから、ビックチャンスをものにすることができた。だから


「あなたも今すぐ決断しないとダメ!」


ということになるそうです。英会話教室に入って数十万のローンを組まされることがビックチャンスとは思えないのですが、カラクリ人形にこういう知恵をつけた人間がいることに今では感心します。


ちなみにナポレポン・ヒルとアンドリュー・カーネギーの生前のつながりについても明確な資料は残っておらず、ヒルがカーネギーを自身の権威化のために利用したという説もあるそうです。まさに死人に口なしといったところでしょうか?


何はともあれ、権威者は自分の知らないところで勝手に悪用されがちなものです。