カモネギFX

株式投資、FXデイトレード、古書収集などをド田舎で行っている資産運用ブログです。

2014年05月

古銭投資の実例 中国近代編 その1

丁福保の指導の下に陳存仁はいろいろな利殖の計画を実行するのですが、今回は彼ら二人が協力して古銭に投資したときにやった方法を紹介したいと思います。


『古銭大辞典』を編集出版した丁福保のもとには古銭を売りに来たり、逆に古銭を買いに来たりする人が徐々に増えてきました。


この売買によって少なくない利益を得た丁福保はここに一つの理財の道があるように思い、ある日、自分を訪ねてきた陳存仁に尋ねます。


「まだ誰も注目していない古銭に理財のヒントがあるように思うのだが、私のために何か妙案を出してはくれないかね?」


「分かりました。何か良い方法がないか考えてみます」


数日後、陳存仁は茶館に丁福保を呼び出して、自分のアイデアを伝えます。


「ほお、それは妙案じゃのう。よし、必ず君の言うとおりにやってみよう」

銀元時代の生活史 その4

丁福保が陳存仁に教えた理財の要点は以下のようなものでした。


1.職業選択のときには、大衆のためを考えて一つの職業を選び、全力で取り組むこと。一度決めた職業は変えてはならない。努力すれば、どんな職業でも立派な成果を出すことができる。


2.怠ければすべてが台無しになってしまうので、怠けてはいけない。勤勉が周囲の人々と違うレベルに達すれば、必ず頭角を現すことができる。金銭や財産は休むことなく求め続けなければならないが、不義のお金は一文たりとも受け取ってはいけない。


3.お金を稼いだ後は、節約を学ばなければならない。十文稼いだら、少なくとも三文は節約しないといけない。もし事業で成功したいのなら、稼いだ十文のうち、ただ二三文が使えるだけである。貯まったお金はもっと大きな計画のために備える。なぜならお金がお金を生むのは、自分が働くよりも簡単だからである。


4.お金を稼ぐのは容易でないが、それを管理するのはもっと難しい。ただ稼ぐだけで管理できないのなら、理財の道理を分かっているとは言えない。またそれができるようになっても、まだ用いるという段階がある。お金を用いるのはそれを管理するよりもさらに難しい。無駄なことに用いるのは浪費であり、有意義なことに使えてようやく理財家ということができる。


何かバビロンの大富豪に出てくる五つの黄金法則に似通っているような気がします。理財の原則に古今東西の区別はないというところでしょうか。

銀元時代の生活史 その3

こうして医者の道を目指すことになった陳存仁は、中学を卒業した後、南洋医科大学に進学します。そこで1年間学びますが、西洋医学を学んでも開業に莫大な費用がかかるだろうということで、中国医学に転向して、上海中医専門学校に転学します。


そこで中医を学ぶかたわら、陳存仁はお金の問題を解決したいと思い、アルバイトを探します。


運よく医学雑誌の編集作業員のアルバイトが見つかり、丁福保という学者のもとで働き始めます。


この丁福保から陳存仁は様々な利殖の方法を学ぶことになります。


丁福保が言うには、


「読書人は往々にして金銭や財産のことを軽視しがちである。お金のこととなると、すぐ俗っぽいと感じるがこれは間違っている」


「文人は往々にして理財の道の何たるかを知らず、一生うだつが上がらない。その実、一人の人間の生活はお金から逃げることはできず、理財の道を知らなければ、一生苦しむことになる」


昔と今の自分の姿を省みても、全く真実だと思います。

銀元時代の生活史 その2

『銀元時代の生活史』は中国語で書かれているので、読めない人も多いことと思います。今後、このブログでは役に立ちそうなところを取り上げていきたいと思います。


さて、陳存仁は上海で絹織物の販売を営む事業家の家庭で育ちますが、家業が衰退して破産したあと、悪いことは重なるもので父親が急病で37歳の若さで世を去ってしまいます。


このとき陳存仁はわずか6歳。五人の子供を抱えて尚且つ母親は身重でした。一家の大黒柱を失った陳家は極貧の生活に落ちていきます。


その後、中学に上がる年齢になった陳存仁は、陶器を作る職業訓練学校に行こうとします。ここならわずかながらも手当てが出るので家計の足しになると思ったのです。


しかし、この考えは伯父の反対にあいます。


「陳家は代々読書人か事業家であった。それなのにお前は職工になろうとしている。職工の同僚の素質は良くなく、往々にして賭博の習慣に染まってしまっている。その道にいってはいけない」


「もし父親の遺言に従って、お前が医者になろうとするのなら、すべての費用は私が負担しよう。ただまず中学を出た後でなければ、医学学校に進学することはできない」

銀元時代の生活史 その1

中国近代銀貨なんて今まで書いてきましたが、主に中華民国時期に流通貨幣として使われていた銀貨、正確には銀元というそうです。


wikiにも記載がありますが、中華民国時期の貨幣制度の変遷は激しいので、私もまだちょっとよく分かっていません。


この時期を生きた陳存仁(1908-1990)という中医の医者が大変素晴らしい本を残しています。

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『銀元時代の生活史』という本です。自身が銀元を使っていた時代に経験した様々な出来事を記した自叙伝のようなものなのですが、利殖に対する様々な経験が重点的に語られています。


ものすごくおもしろいです。


さて、陳存仁という人はただの中医ではなくて、学者っぽい性質も持っていたようで、著作もかなりあり、漢方に関するものは日本語に翻訳されているものもあるようです。


(『銀元時代の生活史』の方こそ、日本語に翻訳したら、絶対に売れると思うのですが……)


その学者兼投資家という性格は、時代は若干異なりますが、『私の財産告白』を書いた本多静六(1866-1952)とイメージがダブります。

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分散投資から集中投資へ その6

日本株も中国株もこれからは時間をかけて所有銘柄を削っていく作業に入りたいと思います。


付き合いが深くなって、あまりよいと感じなくなった企業の株式は売却して、逆にますます良い企業だと感じるようになった企業の株式は買い増しする。


あるいは新たに良い企業が見つかったら、そちらに新規投資をする。


うまくいけば、よく知らない企業の分散投資よりかははるかによいリターンが生まれる可能性があります。


複利の効果は甚大なので、ほんの少しでもリターンが上がれば、長期ではものすごい差になって表れます。


また、20年とか30年の長期投資を考えた場合、投資銘柄が少なくても、絶好のタイミングはおそらく何度も巡ってくるでしょう。


過度に投資対象を広げる必要はないと思います。


すべては自分の庭で育てられるものである。


そんな気がしています。

分散投資から集中投資へ その5

ソフトバンクの単元株買うには今70万円以上必要になっています。ワープアにはおいそれと買える金額ではなくなってきました。


ソフトバンクはポートフォリオの中に既にありますので、今回はソフトバンク以外で、強い成長意欲を持っている企業はないだろうかと考えてみました。


ひとつ思い浮かびました。自分が持っているポートフォリオの中で、買値から半値以下にまで下落しているあの企業。


中国株を売ってできた資金はリブセンスに突っ込むことにしました。リブセンスの単元株は今なら10万円以下で買えます。


私だけかもしれませんが、リブセンスからは「あって当たり前の企業になる」という強い成長意欲を感じます。


表面的にはナンピン買いのように見えますが、本質的には集中投資です。


「あんな企業よく買うな」


と感じる人もいるでしょうが、銀のスプーンをくわえて生まれてきたわけではない私はリスクを取り続けます。

分散投資から集中投資へ その4

ほんの6、7年前の状況を見ると、ドコモとの間にはありえないくらいの差があって、ボーダフォンジャパンを買収したときに「10年以内にドコモを抜くといったときには鼻で笑われた」と。


このありえないギャップを埋めたのは、強い思いにほかならない。


会社のバランスシートには載らないし、格付け機関からも資産として評価されないけれども、会社の一番大きな財産は「思い」である。


というようなことを言っていました。


「思い」を感じるのに、プロも素人もありません。どうもここにヒントがありそうです。


さて、決算説明会の動画が配信できるようになったのはここ10年くらいの話でしょうか?ゆえに残念ながら、決算説明会で松下幸之助や本田宗一郎がどういう話をしていたのか知ることはできません。


しかし、ソフトバンクの決算説明会の動画なら今まさに見ることができる。


空気のように当たり前に存在しているものの価値に私たちは気づくことなく時間を過ごしていきます。


孫正義さんが正当な評価を受けるのは、その死後になるのかもしれません。


ただの評論家ならそれでも遅くはないのでしょうが、市井の素人でも投資家であろうとするのなら、それではあまりにも遅すぎると思うのです。

分散投資から集中投資へ その3

これまでどおり年金運用的な分散投資の部分は残しつつ、徐々に集中投資の部分を増やしていこうかと思っています。


三国志演義なんかを読むと、少数精鋭の決死隊に奇襲をかけさせて局面を打開するというような話はよく出てきます。


同じようにワープア脱出の希望を託した集中投資を取り入れていこうかと思います。


さて、プロのファンドマネージャーのように財務諸表を鋭く分析することのできない素人の場合、何を頼りに集中投資したらよいかという問題があります。


5月7日のソフトバンクの決算説明会の動画を見ていて、ヒントがありました。


いつ見ても孫正義さんのプレゼンテーションは「何か騙されているんじゃないか?」と思うくらいうまいです。


今回、ソフトバンクが売り上げ、営業利益、純利益でそろってドコモを抜いたというくだりで、「思い」が会社にとって一番重要な財産であると言っていました。

分散投資から集中投資へ その2

含み益もずっと利益確定しない超長期投資が素人には合ってそうだと思い、それを実行しつつあるので、投資期間が長くなってきています。


自然、自分が所有している銘柄の情報もいろいろと入ってくるようになりますし、決算説明会動画なんかを見る機会も多くなります。


例えば、近所の地理には自然と詳しくなるように、ずっと同じ企業の株式を所有していると、素人レベルでもそれがどういう企業かがなんとはなしに分かるようになってきます。


「信用できそうか、将来に期待できそうか」


何年も付き合いがある人のことは、ある程度までは分かるのと同じように。


分散投資の裏には無知があります。


無知だから市場平均的な株式の成長に乗る以上のリスクが取れない。


今、集中投資しようかという気分が出てきたということは、多少なりとも無知の状態を脱したということかもしれません。


「よく知らない企業に分散投資している」


というのは少々窮屈だと感じるようになってきました。


以前、インデックスファンドの投資から個別株の投資にシフトしたときに抱いたのと同じ感覚です。


どうやら集中投資したいお年頃に私も成長したようです。
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