
著者:トマス・J. スタンリー
出版:早川書房
(1997-09)

著者:トマス・J・スタンリー
出版:日本経済新聞社
(2001-05-18)
資産家の実像を研究したトマス・J・スタンリーがあぶり出した億万長者像は世間のお金持ちのイメージとはかけ離れたものでした。
自身よりも遥かに収入の低い人たちが住む普通の住宅街に住み、ブランド品やぜいたく品とは無縁の質素な暮らしを営む、外見からは少しもお金持ちに見えない人たちが資産リッチな人たちでした。
買ったとたんに減価する新車や新品のブランド品には目もくれない億万長者たちが唯一財布の紐を緩める実物商品。
それがアンティークです。
昔の私は、ほとんどの物の値段に無頓着で、「これは買った後にすぐ値下がりする商品か?」とか「もっと安く買えるところはないのだろうか?」とか考えたこともありませんでした。
自動車、家電、衣類、書籍、etc.……ほとんどのものが時間の経過とともに陳腐化して値下がりします。
一方、強力なコレクターがいる極一部のカテゴリーのアンティークは、その希少性ゆえに時間の経過とともに値上がりしていきます。
すぐに値下がりすると分かっているものに大金を払うのは馬鹿げています。一方、自分が買ったあとに値上がりするものになら、大金をかけても、浪費ではなく投資になります。
趣味と実用と投資を兼ねられるアンティーク購入とただの消費活動、資産リッチな人たちは本能的にこの両者の違いを嗅ぎ分けているようです。