孔夫子旧書網を見ていると、初版や初刷りというのが、非常に珍重されているのを感じます。


中国の古典関係の古本に特に顕著な現象のようで、理由としては重版が重なれば重なるほど、印刷が不明瞭になるというのが一つにはあるようです。


私自身はあまり感じたことはありませんが、大量に増刷されるような古典書籍の場合は、自分の買った新しい本より大学図書館にあるような本の方が印字が鮮明だと感じたことはあります。


もう一つの理由としては再版されるときに序文が削られたりとかいろいろと改悪されるケースがあり、これを嫌う場合があります。


何はともあれ、初版とか初刷りとかいった書籍は出版年が古く流通量が減っているので、そういうものを珍重する極一部の人たちがいるかぎり、値上がりします。


上海古籍出版社からは1983年に出版された『王国維遺書』が初版の初刷り(私の手元にあるのは初版の二刷)になりますが、孔夫子旧書網では安くても1000元以上で販売されています。


つまり、人民元高とインフレと希少性の三大圧力によって、中国古書の値段が値上がりすると考えるのですが、供給過多で普通に値下がりしている中国古書も当然あります。


しかし、今からは希少性を踏まえた中国古書購入計画を立てれば、円安とインフレで価値がどんどん下がっていく日本の銀行預金よりかは、はるかによい資産形成ができるのではないかと思っています。


株式投資で10年で10倍のリターンというのは珍しくないため、地味な投資方法でしょうが、私の場合、中国古書投資は投資と趣味を一体化できるというのが、最大の魅力です。