私が電話で話をしたわけではないので、詳細は分かりません。


しかし、話された言葉と目の前で起こっている現象がまるで食い違ってかみ合わっていない。


これが一つの大きな手がかりになります。


詐欺師に対峙するときにはその話された言葉を吟味するのではなく、目の前で起こっている現象のみに意識を集中させなければなりません。


もっとも端的にいうと「お金」の動きにのみ全神経を集中させるのです。


お分かりでしょうか?


ギリシャ神話の英雄ペルセウスが魔女メデューサを倒すときに使った鏡の盾、私たちの場合、それは「お金」そのものです。


今あなたの大切なお金が財布から勝手に抜き取られようとしたら、あなたは必ずこれを押し止めようとするはずです。


ゆえに詐欺師は必ず言葉の魔術を使って、あなたに自主的にお金を差し出させようとします。


これに対抗するには、詐欺師と真正面から対峙するのではなく、鏡の盾、つまり私たちの「お金」に反射して映る詐欺師の姿のみをその実体としてとらえるのです。


私のお金が誰のもとに動かされようとしているのか?


私の銀行口座から誰の銀行口座にお金が移されようとしているのか?


詐欺師は言葉の魔術によって私たちを操り人形と化すことはできても、「お金」の動きまで隠すことはできないのです。