『銀元時代の生活史』は中国語で書かれているので、読めない人も多いことと思います。今後、このブログでは役に立ちそうなところを取り上げていきたいと思います。


さて、陳存仁は上海で絹織物の販売を営む事業家の家庭で育ちますが、家業が衰退して破産したあと、悪いことは重なるもので父親が急病で37歳の若さで世を去ってしまいます。


このとき陳存仁はわずか6歳。五人の子供を抱えて尚且つ母親は身重でした。一家の大黒柱を失った陳家は極貧の生活に落ちていきます。


その後、中学に上がる年齢になった陳存仁は、陶器を作る職業訓練学校に行こうとします。ここならわずかながらも手当てが出るので家計の足しになると思ったのです。


しかし、この考えは伯父の反対にあいます。


「陳家は代々読書人か事業家であった。それなのにお前は職工になろうとしている。職工の同僚の素質は良くなく、往々にして賭博の習慣に染まってしまっている。その道にいってはいけない」


「もし父親の遺言に従って、お前が医者になろうとするのなら、すべての費用は私が負担しよう。ただまず中学を出た後でなければ、医学学校に進学することはできない」