「こんな安い給料でいくら働いても金持ちになれるわけがない」


ほとんどの人がこう思っているでしょうが、こんな風に考えてしまうのは、今の時代しか知らないからです。


昔の小説なんかを読むと、貧乏人と貴族しかいません。


レ・ミゼラブル〈1〉 (岩波文庫)
ヴィクトル ユーゴー
岩波書店
1987-04-16



主人公のジャン・ヴァルジャンが7人の姉の子供を抱えて、仕事も食料もなくなり、ひとかけらのパンを盗んだことによって、投獄されるところから物語は始まります。


大学生のときに読んだのですが、「なんでこんなに貧乏な話ばかり出てくるのだろう」とは当時思いませんでした。


「小説だからそんなものなんだろう」とほとんど無意識のうちに脳内スルー。


その実、人間の想像力は極めて貧困なもので、小説はキャバクラ嬢の源氏名のごとく、多少の名称と場所とストーリーを変えて、事実が赤裸々に書かれていることがほとんどです。


つまり、ユーゴーが『レ・ミゼラブル』を執筆した当時には書籍に書かれているような貧乏話は読者に違和感なく受け入れられる現実の物語だったということです。


皆さん、本当に現代の日本に生まれて幸せですね。


「自分はワープアで……」なんて言っている人でも、19世紀の人々から見たら、貴族のような暮らしをしていますよ。


つまり歴史的な観点から見ると、我々はみな貴族といっても過言ではないくらい既に豊かなのですから、より豊かになるチャンスにも恵まれています。