様々な業界で偉大な業績を残した人たちは長寿を保っていることが多い一方で、夭折したのに大きな業績を残したり、若くして成功する人たちもまたいます。


こういう人たちは一代で成功したというよりも先祖代々の蓄積があったというケースが多いのではないかと思います。





邱永漢先生が経営者の小林一三について大絶賛した書籍です。


私の場合、この本によって小林一三という人物を初めて知り、少し値が張ったのですが、小林一三全集を買ってみました。


小林一三全集〈第7巻〉 (1962年)
小林 一三
ダイヤモンド社
1962




その第七巻に以下のような話が載っていました。


「スイスの時計は世界で非常に有名なんですよ。ところがスイスの時計のいい職人というものは、やはり親が二代も三代も古いほどいい職人が生まれて、初めてではどんな器用なものでも第一流の職人にはなれないという話を聞いたのですが……」(p.455)


という話を歌舞伎役者との対談でしていて、やはり役者というものも家々で育てていくものなのでしょうという結論になるのですが、これは業界問わずある程度共通したものなのではないかと思います。


世襲というと今日ではマイナスなイメージで語られることが多いですが、現実には世襲によって先祖代々の経験や知識が損なわれることなく継承発展していく。


平成の今の世でも、どの業界を見ても世襲だらけなのは、それが経済的合理性にかなっているからではないでしょうか。