リーマンショックは分散投資があまり意味のないものであることを明らかにしました。レバレッジ投資家が多数いる現在では、一度大不況に陥ると誰かのロスカットがそのまた誰かのロスカットを呼び、換金できるものは何であれどん底まで売られてしまうからです。


幕の内弁当のように小分けした金融ポートフォリオを見て安心がる小市民は、弁当箱ごと地べたに叩きつけられる現実に耐えられるでしょうか?


「そういうことは当然起こりうる」


と理解できるようになったなら、私のように数字的な資産としては大打撃を受けたとしても知識と経験の面では進歩したと言えるのかもしれません。


さて、大不況のときには新興国株式への投資は、円高による現地通貨の下落と株価暴落の二重の責め苦を受けるので、投資ビギナーだと狼狽売りという自傷行為をしてしまう可能性が高いです。


「こんなに値下がりしたものが、元に戻るわけがない。やっぱり中国なんかに投資するんじゃなかった(涙)」


今からリーマンショック後の中国株のチャートを見ると空恐ろしいものがありますが、もう少し視線を現在に向けると、リーマンショック前の最高値すら遥か後方に置き去りにしている銘柄もまた多いことに気づきます。


つまり、ここ20年くらいで中国人の年収が倍々ゲームで増えていったことからも分かるように、経済成長の波に乗って、10倍20倍になった中国株は全然珍しくありません。


一方、ここ20年くらいの日本人の年収がジリ貧で減少しつつあることからも分かるように、経済成長の鈍化した日本では、ベンチャー企業などは別にしても、10倍20倍になった株式は一流ブランド企業の中にはほとんど見られません。


これは経済成長という地盤の差がもたらす結果かもしれません。


結論としては、大不況を乗り越えて、超長期で見れば、新興国株式への投資はやはり取り組む価値があるものだということが分かります。